ファイナンシャルプランニング
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2026.09
企業型DCのマッチング拠出が変わった!2026年4月から何ができるようになった?

この記事を書いた人:
篠原 博之2026年4月1日から、企業型確定拠出年金(企業型DC)の「マッチング拠出」に関するルールが大きく変わりました。
これまでマッチング拠出では、従業員が自分で拠出する掛金について、
「会社が拠出する掛金を超えてはいけない」
という制限がありました。
2026年4月の制度改正によって、この制限が撤廃されています。これにより、会社の掛金が少ない場合でも、従業員本人が希望すれば、企業型DCの拠出限度額の範囲内で、これまでより多くの掛金を拠出できるようになりました。
今回は、企業型DCのマッチング拠出について、何が変わったのか、具体例を交えながらわかりやすく解説します。
そもそも「マッチング拠出」とは?
企業型DCでは、原則として会社が従業員のために掛金を拠出します。
たとえば会社が毎月1万円を拠出し、その掛金を従業員自身が投資信託などの商品で運用して、将来の老後資金を形成していく仕組みです。
これに加えて、企業型DCの規約に定めることによって、従業員自身が給与などから追加で掛金を拠出することができます。
これが「マッチング拠出」です。
つまり、
会社が拠出する「事業主掛金」
従業員が追加する「加入者掛金」
の2つを合わせて資産形成できる制度です。
ただし、すべての企業型DCで自動的にマッチング拠出が利用できるわけではありません。会社の企業型DC規約に、マッチング拠出を利用できる旨が定められている必要があります。
2026年3月までは「会社の掛金以下」という制限があった
これまでのマッチング拠出には、少し使いにくいルールがありました。
従業員が追加で拠出する加入者掛金について、
「事業主掛金の額を超えてはいけない」
とされていたのです。
たとえば、会社が毎月1万円を企業型DCに拠出していた場合を考えてみましょう。
従来は従業員がマッチング拠出できる金額も、原則として月1万円まででした。
企業型DCそのものにはもっと大きな拠出枠が残っていても、会社の掛金が1万円であれば、従業員も1万円までしか追加できなかったわけです。
特に、事業主掛金が比較的少ない企業や、勤続年数・年齢などによって事業主掛金が低く設定されている従業員にとっては、老後のために「もっと積み立てたい」と思っても十分に制度を利用できない場合がありました。
2026年4月から「会社掛金以下」の制限が撤廃
2026年4月1日の改正では、この制限が撤廃されました。
そのため現在は、加入者掛金が事業主掛金を超えても、企業型DC全体の拠出限度額の範囲内であれば拠出できる仕組みとなっています。
たとえば、企業型DCのみに加入している従業員で、会社の事業主掛金が月1万円の場合を考えてみます。
2026年11月までの企業型DCの法令上の拠出限度額は、原則として月5万5,000円です。
改正前
事業主掛金:1万円
加入者掛金:最大1万円
合計:2万円
2026年4月以降
事業主掛金:1万円
加入者掛金:法令上は最大4万5,000円
合計:最大5万5,000円
このように、会社の掛金が変わらなくても、従業員自身の判断で老後資金の積立額を大きく増やせる可能性があります。
なお、確定給付企業年金(DB)など他の企業年金制度にも加入している場合には、他制度掛金相当額などによって企業型DCの拠出限度額が異なります。
ただし「自動的に掛金上限が増える」とは限らない
今回の改正で注意したいポイントがあります。
法律上の「加入者掛金は事業主掛金以下」という制限は撤廃されましたが、各企業の企業型DC規約や運用ルールが自動的にすべて変更されるわけではありません。
既存の企業型DC規約に旧制度と同様の加入者掛金の上限が定められている場合、そのままでは従来の制限が残ってしまうケースがあります。
厚生労働省も、制度改正後も従来の制限を残した規約の場合には、引き続き加入者掛金額に制限が設けられることになると案内しています。
そのため、
「制度が変わったから、明日から好きな金額を追加できる」
というわけではありません。
勤務先の企業型DCで実際にいくらまでマッチング拠出できるのかについては、会社の担当部署や企業型DCの加入者向けサイトなどで確認してみましょう。
マッチング拠出には税制上のメリットもある
マッチング拠出によって従業員本人が支払った加入者掛金は、全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象となります。
そのため、掛金を拠出することで課税所得が減り、所得税や住民税の負担を軽減できる可能性があります。
また、企業型DC内で発生した運用益についても、運用中は非課税です。
老後資金を自分で準備する制度として、税制面でもメリットが大きい仕組みといえるでしょう。
一方で、DCに拠出した資産は原則として老後まで自由に引き出すことができません。
節税になるからといって無理に掛金を増やすのではなく、日々の生活費や預貯金などとのバランスを考えて設定することが重要です。
マッチング拠出とiDeCoはどちらを使う?
企業型DC加入者の場合、老後資金を追加で積み立てる方法として「iDeCo」を利用できるケースもあります。
ただし、現在の制度では、企業型DCで加入者掛金(マッチング拠出)を拠出している人は、iDeCoを同時に利用することはできません。
そのため、
「勤務先のマッチング拠出を利用するのか」
それとも
「企業型DCでは会社掛金のみとし、自分の積立はiDeCoで行うのか」
を考えることになります。
利用できる商品、手数料、掛金額、手続きのしやすさなどは制度によって異なるため、自分に合った方法を検討するとよいでしょう。
さらに2026年12月から企業型DCの掛金上限も引き上げ
企業型DCでは、2026年にもう一つ大きな制度改正があります。
2026年12月1日から、企業型DCの拠出限度額そのものが月額5万5,000円から6万2,000円へ引き上げられます。
DBなど他制度に加入している場合には、6万2,000円から他制度掛金相当額を差し引いた金額が企業型DCの限度額となります。
つまり2026年は、
4月:マッチング拠出の「事業主掛金以下」という制限を撤廃
そして、
12月:企業型DCそのものの拠出限度額を引き上げ
という2段階の大きな改正が行われる年です。
老後資金形成における企業型DCの役割は、これまで以上に大きくなっていきそうです。
【関連記事:企業型DCの掛金上限が2026年12月から引き上げへ】
企業側もマッチング拠出制度を確認しておきたい
今回の改正は、従業員だけでなく企業にとっても企業型DC制度を見直すきっかけになります。
すでにマッチング拠出を導入している企業では、
現在の規約で加入者はいくらまで拠出できるのか
2026年4月改正を規約に反映しているか
従業員に制度変更を周知しているか
2026年12月の拠出限度額引上げにどう対応するか
などを確認しておくとよいでしょう。
また、企業型DCは導入しているものの、マッチング拠出を導入していない企業にとっても、今回の改正を機に導入を検討する余地があります。
マッチング拠出の加入者掛金は従業員本人が負担するため、事業主掛金そのものを増額する仕組みではありません。
一方で、従業員が税制優遇を活用しながら老後資金を形成できる選択肢を増やせるため、福利厚生制度の一つとして検討する価値があります。
まとめ
2026年4月1日から、企業型DCのマッチング拠出について、従業員の加入者掛金が「事業主掛金を超えてはいけない」という制限が撤廃されました。
これによって、会社の企業型DC掛金が少ない場合でも、従業員が自身の判断でより多くの掛金を拠出し、老後の資産形成を行いやすくなっています。
さらに2026年12月には、企業型DCの拠出限度額そのものも引き上げられます。
企業型DCを導入している会社にとって、2026年は自社の制度設計や従業員への案内を見直す良いタイミングといえるでしょう。
まずは自社の企業型DC規約が今回の改正にどのように対応しているのか、確認してみてはいかがでしょうか。
※本記事は2026年9月時点の制度をもとに作成しています。企業型DCの具体的な取扱いは、加入している制度・規約等によって異なります。
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この記事の著者
合同会社kurasuke代表社員 行政書士
篠原 博之個人税理士事務所・中小企業の総務部長・税理士法人のIT担当の経験を経て独立
バックオフィスのDXに注力している。
登録番号:第2408248号|東京都行政書士会 新宿支部所属
