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ファイナンシャルプランニング

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2026.06

iDeCoの上限も月6.2万円に。それでも一人社長が「企業型DC」を選ぶ理由

    「同じ金額なら、手軽なiDeCoでいいのでは?」

    2027年1月の引き落とし分から、iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金上限が大きく変わります。会社員や法人役員などの第2号被保険者は、これまでの月23,000円(企業年金なしの場合)から、月62,000円へと約2.7倍の引き上げです。

    一方、企業型DC(企業型確定拠出年金)の上限も、2026年12月施行の改正で月62,000円になります。

    ——上限が同じ62,000円。それなら、会社で制度をつくる手間のないiDeCoで十分では?

    一人社長や小規模法人の経営者なら、当然そう考えるはずです。実際、私たちもこの改正で企業型DCの新規導入は減るのではと見ていました。ところが現場では、一人社長の導入はむしろ堅調に増え続けています。理由は明快で、同じ62,000円でも「お金の通り道」がまったく違うからです。

    iDeCo:役員報酬を「受け取ってから」拠出する

    iDeCoの掛金は、会社から役員報酬として受け取ったお金の中から、個人の口座を通じて支払います。

    会社 →(役員報酬)→ 個人 →(掛金)→ iDeCo口座

    ポイントは、役員報酬として受け取る時点で社会保険料の算定対象になっていることです。掛金は全額が所得控除になるため所得税・住民税には効きますが、社会保険料は1円も変わりません。

    企業型DC:給与に「ならないまま」拠出される

    企業型DCの事業主掛金は、会社から年金資産として直接拠出され、役員報酬を経由しません。

    会社 →(掛金:給与ではない)→ DC口座

    給与でない以上、所得税・住民税がかからないのはもちろん、社会保険料の算定基礎にも含まれません

    これがどれほどの差か。上限の年744,000円を拠出するケースで、社会保険料率をざっくり30%(労使折半)と置くと、報酬から外れることによる保険料インパクトは概算で年20万円超。企業型DCの運営にかかるシステム利用料を考慮しても、お釣りが来る規模です。一人社長の場合、会社負担分も役員負担分も、出どころは実質的に同じ財布。この差は無視できません。

    ※実際の保険料は標準報酬月額の等級で決まるため、報酬設計によっては効果が出ない場合もあります。

    そのほかの違いも整理すると

    iDeCo

    企業型DC

    税金

    所得控除(後から戻る)

    非課税(最初からかからない)

    社会保険料

    効果なし

    報酬設計次第で効果あり

    口座手数料

    個人負担

    会社負担(損金算入可)

    導入の手間

    個人で申込むだけ

    会社で制度導入(約半年)

    手軽さではiDeCo、トータルの効率では企業型DC——という構図です。なお両制度は併用も可能で、2027年以降は企業型DCの掛金とiDeCoの掛金を合算して月62,000円の枠内で組み合わせられます。

    注意点も正直に

    企業型DCで報酬の一部を掛金に振り替える設計にすると、標準報酬月額が下がる分、将来の厚生年金額や傷病手当金などの給付水準も下がります。「保険料が減る」は「給付の土台も減る」と表裏一体です。また、拠出した資金は原則60歳まで引き出せません。目先の負担減だけでなく、老後の受取額まで含めた長期の設計が欠かせません。

    まとめ

    iDeCoの上限引き上げは朗報ですが、それで企業型DCの存在意義がなくなるわけではありません。同じ62,000円でも、「受け取ってから積む」のか「給与になる前に積む」のか——この通り道の違いが、税と社会保険の効き方を分けます。

    合同会社kurasukeは企業型DC導入の紹介パートナーとして、制度のご案内から専門機関へのお繋ぎまで承っています。「自分の場合はiDeCoとどちらが合うのか」、まずは整理のお手伝いからいかがでしょうか。


    本コラムは2026年6月時点の情報に基づく一般的な制度解説であり、個別の税務助言・投資助言を行うものではありません。具体的な影響額は報酬額・等級により異なりますので、税理士や社会保険労務士等の専門家にご確認ください。

    この記事の著者


    合同会社kurasuke代表社員 行政書士

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